対空砲

【Anti-Aircraft Artillery/Gun】
地上ないし、海上から、敵航空機や飛翔体の撃墜を狙う火砲。かつては、単発式だったが、第二次世界大戦以降は、連射が出来る機関砲が一般的。地上や艦船に固定される物や、牽引される物、装輪、または、装軌の車体に搭載され、自走化したものがある。また、三次元で移動する標的を狙うため、レーダー等のセンサーを使用する物も多い。対空砲が歴史に現れるのは、1793年、フランス革命戦争のことである。フランス側は、当時の敵、オーストリア軍の動静を探るため、熱気球を使用したが、これを妨害する為、オーストリアは17ポンド榴弾砲、2門で仏熱気球のゴンドラを狙ったが命中しなかった。この2門の17ポンド砲が、史上初の対空砲とされている。これは、既存の火器を対空用に転用した物だったが、1871年、普仏戦争で、プロシャが使用した口径37㎜、及び、25㎜の対バルーン砲は、高仰角が可能で、対空火器として設計された最初の火器だった。1914年、第一次世界大戦で、ドイツは、サーチライトと音響探知器を使って、対空砲に通知する仕組みを作成した。2017年現在では、軍用車両の上に、高仰角が可能なように機関銃を取り付けた簡便なモノから、レーダー/赤外線センサー/光学センサーの標的追尾データに基づき、コンピュータで標的の未来位置を予測し、機関砲を連射し、弾幕を張るシステムまで様々な物がある。また、センサーと機関砲、対空ミサイルを組み合わせ、さらに、装輪、または、装軌の車輛に搭載し、自走化したものもある。敵対艦ミサイルから防御する為、艦船に搭載される、レーダーと機関砲を一体化したCIWS(近接防御火器システム)というものも、各国海軍に普及している。

「安全保障用語」編集部