集団安全保障

collective security】
複数の国家間であらかじめお互いに戦争を仕掛けないと約束し、さらにこの約束を破った国家に対しては残りのすべての国家が協力して違反国を懲罰すると約束するという二重の合意によって、戦争の発生を防ごうとする仕組み。もともとアベ・ド・サンピエールが提唱した考え方だが、20世紀にはいり、国際連盟規約に取り入れられ、その後国際連合による安全保障の仕組みの基本となった。実際には、この二重の合意のうち第二の合意の解釈や実施には困難が伴い、その結果、第一の合意を無視して侵略が行われる場合があった。第二次世界大戦に至る日独伊の侵略が国際連盟規約の集団安全保障の仕組みを破綻させたのはその実例である。また、その反省をうけて成立した国際連合憲章の場合でも安保理常任理事国に「拒否権」が付与され、集団安全保障の措置が実施されることは稀であった。