二極

【Bipolar】
安定した国際秩序を形成する定型的な理論の二つ目が、二極平和論である。圧倒的な力を持つ二つの国や勢力が均衡することで力の安定が生まれることを言う。第二次世界大戦後の米ソ・東西冷戦期がこれに当たる。米国の国際政治学者ケネス・ウォルツは冷戦構造下の二極化した国際秩序が「最も安定的だ」と主張した。同盟が入れ替わる状態が国際秩序を維持するうえで最も危険であり、多極化した状態では同盟の結束が緩むと指摘する一方、二極化した状態では同盟国間で責任ある行動が可能になると論じた(The Stability of a Bipolar World、1964年)。冷戦終結後は、米国と中国を「G2、Group of Two」(国際経済学者のC. フレッド・バーグステン)と称して新たな二極化構造とされたが、イアン・ブレマーは米国も中国も世界のリーダーとはなりえない「Gゼロ」の時代を迎えていると主張している。

「安全保障用語」編集部