[comprehensive national security]
総合的に安全を保障すること。1970年代の日本で提唱されるようになった概念。特に大平正芳首相の組織した「総合安全保障研究グループ」の報告書によって広く知られるようになった。安全の対象にしても、脅威の範囲にしても、またとるべき手段にしても、できるだけ広範に、「総合的」にとらえていかなければならないという考え方に基づいている。経済危機や食料危機などに対処することも安全保障の範囲であり、また、対処する手段も軍事面を超えて考えるべきであるとの考え方であった。その後、世界的にも使われるようになった。「総合安全保障研究グループ」報告書は、軍事的手段を軽視したわけではなかったが、時に非軍事的安全保障の意味で総合安全保障の概念が使われる場合があった。