【The secret agreement】
日本への核持ち込みや、朝鮮半島有事の際の在日米軍出撃などをめぐって、日米間で密約が交わされていたとされる問題。2009年まで歴代政権は密約の存在を否定してきたが、鳩山由紀夫内閣が密約に関する調査を指示し、外務省や有識者委員会が調査・検証した。対象としたのは、①安保条約改定時に核兵器を搭載した米艦艇の日本への寄港・通過を事前協議の対象外としたこと(1960年)②朝鮮半島有事の際の事前協議なしの在日米軍出撃(同)③沖縄への核再持ち込み(69年)④沖縄返還時の現状回復費肩代わり(71年)の4つ。有識者委員会は、②を密約があったと断定したほか、①の核持ち込みや②の現状回復費の肩代わりに関しても、明確な文書はないが、暗黙の合意による「広義の密約」があったと結論。調査の過程で、外務省内で密約の核心となる重要文書が破棄されていた可能性が露呈したが、「密約は存在しない」との従来の政府見解を覆すには、新たな議論が必要だとし、政府見解は修正されていない。