兵器用核分裂物質生産禁止条約

【Fissile Material Cut-off Treaty=FMCT】
核爆弾の原料となる高濃縮ウランやプルトニウムの生産及びその取引、生産への協力を禁止するための条約。冷戦終結を受け、米国のクリントン大統領が1993年の国連総会で交渉開始を提案した。その後、95年にジュネーブ軍縮会議(CD)において具体的な条約案の作成作業開始で合意したが、条約の対象範囲などを巡る意見対立が解消せず、2018年段階でも実質的な交渉が始まっていない。禁止対象となる核分裂性物資の範囲を新規生産に限定するか、既に生産されたストックも含めるか、が主要な対立点となっている。非同盟諸国は後者を主張している。2010年以降は、米国などとの原子力協力に乗り出したインドへの対抗意識から、パキスタンが交渉開始をブロックしている。

「安全保障用語」編集部