単極

【Unipolar】
安定した国際秩序を形成する定型的な理論の一つに単極平和論がある。圧倒的な力を持つ一つの大国が世界の平和と安定を維持する形式を言う。現代では東西冷戦崩壊後の米国によるパックス・アメリカーナを指す。東西冷戦終結(1989年)とソ連崩壊(1991年)を受けて米国際政治学者のフランシス・フクヤマは「歴史は終わった」として民主主義の絶対性、普遍性、恒久性を主張し、米ジョージタウン大学のWilliam Wohlforthは唯一の超大国(sole superpower)としての米国による単極平和論は「永続的かつ平和的だ」(The Stability of a Unipolar World、1999年)と主張した。しかし、冷戦終結から四半世紀を経て国際政治学者のイアン・ブレマーは米国は依然、世界唯一の軍事的スーパーパワーだが、イラク戦争やリーマンショックなどで疲弊した米国が自身の力に「懐疑的になっている」(Superpower、2015年)と指摘した。米国一国による平和は困難なのが現実だ。

「安全保障用語」編集部