核の闇市場

【Nuclear Black Market】
パキスタンの核科学者A・Q・カーン博士が中心となって世界規模で張り巡らした、核技術や関連資機材を調達する闇取引ネットワーク。カーン博士は英独蘭の合弁企業「ウレンコ」に在職中、ウラン濃縮技術に絡むノウハウを取得し、自ら遠心分離機を開発。高濃縮ウランの製造でパキスタンの核計画を推進すると同時に、側近のスリランカ人らと協力して北朝鮮やイラン、リビアに関連技術や資機材を売り込んだ。国際原子力機関(IAEA)の調査によると、日本企業を含む30を超える国の政府や企業・個人が関与。2003年、博士の側近らの依頼によりマレーシアで製造され、リビアに輸送中だった遠心分離機の部品を積んだ船がイタリア沖で臨検を受け、闇市場の存在が発覚。04年に博士は拡散行為を告白し事実上、自宅軟禁の身に。ネットワークは解散状態となるが、関係者が依然、暗躍しているとの見方もある。

「安全保障用語」編集部