トゥキディデスの罠

【The Thucydides Trap】
トゥキディデスは古代アテナイの歴史家。古代ギリシャ時代の約2500年前、台頭するアテネと覇権を握るスパルタの間で長年にわたって戦われたペロポネソス戦争を記録し、「アテネの台頭と、それによってスパルタが抱いた不安が、戦争を不可避にした」と記した。新興国が覇権国に取って代わろうとするとき、二国間で生じる危険な緊張の結果、戦争が不可避となる状態を、米ハーバード大学教授で国際政治学者のグレアム・アリソン(Graham Allison)は「トゥキディデスの罠」と呼んだ。アリソン氏の研究では過去500年の歴史で新興国が覇権国の地位を脅かしたケースは16件あり、うち12件が戦争に発展し、戦争を回避できたのは4件だけだった。自著「米中戦争前夜」(Destined War)で「現代の中国とアメリカの間にも、同じような緊張が存在する」と警告し、互いが戦争を回避する行動をとるように呼び掛けた。