大量破壊兵器の拡散問題

【Proliferation of Weapons of Mass Destruction】
核兵器や生物兵器、化学兵器、その運搬手段となる弾道ミサイルといった大量破壊兵器(WMD)が非保有国やテロ組織などの非国家主体に拡散することは近年、国際安全保障上の最重要課題となっている。二〇〇一年の米中同時テロを経験した米国のジョージ・ブッシュ政権は「WMDとテロの結合」を冷戦後の最大の脅威とみなし、不拡散政策の強化を進め、その流れは今日にも続く。実際、国際テロ組織アルカイダは一時、核兵器や生物兵器の獲得を目指した。兵器や関連資機材、技術が拡散しないよう、国際社会は核拡散防止条約(NPT)や原子力供給国グループ(NSG)、国連安全保障理事会決議といった多国間のルールや枠組みを駆使しながら、拡散阻止に努めている。核、生物、兵器は軍民両用の性格を内在しており、その規制を難しくしている。

「安全保障用語」編集部